有識者の「本音」を引き出すインタビュー。成功の8割は事前の「質問づくり」にある

企業のトップ、第一線で研究を続ける学識者、あるいは現場を牽引するプロジェクトリーダー。 最前線で活躍する有識者や実務者の方々をお招きしての対談やインタビューは、記事やイベントの目玉となる強力なコンテンツです。 しかし、「ただ話を聞けば素晴らしい記事になる」わけではありません。

現場の熱量や、読者の心を動かすようなエピソードを引き出せるかどうかは、当日の進行以上に「事前の質問づくり」に大きく左右されます。 質の高い記事を生み出すための、iworks流・質問づくりの裏側をご紹介します。

目次

「検索すればわかる事実」を質問のゴールにしない

対談や鼎談ではお互いへの自己紹介も兼ねて、あえて基本的な経歴や事業内容を語っていただく時間を設けることがあります。しかし、質問のゴールを「基本情報の確認」に設定してしまうと、表面的な記事で終わってしまいます。

限られた対話の時間を最大限に活かすため、事前に過去のインタビュー記事や著書、発信内容などを読み込み、すでに公開されている事実(点)は頭に叩き込んでおきます。その上で、「この事実とこの事実の間には、どんな葛藤があったのか?」という、まだ語られていない「線」や「裏側」のストーリーを探し当てていく。

この一段深く掘り下げる作業が、話の深みを引き出します。

対談・パネルディスカッションにおける「問い」の罠

1対1のインタビューと、複数の登壇者がいる対談やパネルディスカッションとでは、求められる質問の質がまったく異なります。 複数の登壇者がいる場で陥りがちな失敗は、モデレーターが「Aについてどうですか?」「Bについてはどうですか?」と、単なる一問一答を繰り返してしまうことです。 これでは登壇者同士の化学反応は生まれません。

有意義な議論を引き出すには、あえて登壇者間で視点が異なりそうなテーマや業界が抱える共通のジレンマを問いとして設定する設計力が求められます。 予定調和を崩し、専門家たちの本音と熱量がぶつかり合うような「問いのパス」を出すことが、プロのライターの腕の見せ所です。

「専門知」と「読者」を繋ぐ翻訳家として

先日、東京大学大学院工学系研究科の教授に、最先端の技術や高度な研究テーマについてインタビューする機会がありました。このような専門性の高い内容を扱う場合、事前の質問設計が記事の命運を分けます。

どんなに素晴らしい専門知識や崇高なビジョンも、読者に伝わらなければ意味がありません。だからこそ、質問を作る段階から「読者の顔」を鮮明に思い浮かべておかなければならないのです。専門家にとっては当たり前の前提であっても、読者にとっては未知の領域であることは多々あります。

そこでライターは、あえて「素人の視点」に立ち返る必要があります。「一般の読者に向けて、どのレベルから問いを立てるべきか」「どのような流れで質問を重ねれば、その技術の仕組みや革新性が自然と伝わるか」を事前に徹底的に練り上げます。
有識者の高度な知見を、読者が「自分ごと」として受け取れる温度感に翻訳する。そのための架け橋となるのが、緻密に練り上げられた質問なのです。

インタビューが成功するかどうかは、当日を迎える前に決まっている

心を動かすインタビュー記事や、白熱する対談の裏には、必ず事前のリサーチと緻密な質問設計があります。単に当日の会話を文字起こしして表面を整えるだけでは、その言葉の背景にある時代性や業界事情までは見えてきません。事前に蓄えた知識と、現場での語り手の言葉がピタリと合致した瞬間、そこに読者を惹きつける深いストーリーが立ち現れます。

インタビュイーの言葉の魅力を丁寧に掬い上げ、読者の心に届く言葉へと昇華させる。iworksは、そのための土台づくりを何よりも大切にしています。

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