Search Consoleを開いたら、iworksのライターの名前で意図しない流入が起きていた
先日、iworksのサイトのGoogle Search Consoleを確認していたところ、奇妙なデータに気づいた。
あるページが、過去3ヶ月で2,030回表示されているにもかかわらず、クリック数はゼロ。掲載順位は3.4位。上位表示されているのに、誰にもクリックされていない。
そのクエリは「藤井彩子」だった。
iworksのサイトに登場する藤井彩子は、取材・インタビュー記事からコラム記事まで幅広く手がけるライターだ。一方、検索ユーザーが探していた「藤井彩子」はNHKのアナウンサー。まったく別人を探しているユーザーに、iworksのクリエイターインタビューページが3位表示されていた。
クリックされないのは当然だ。ページを開いても、探しているものは何もない。
これは単なる「運の悪い一致」ではない。Googleがそう判断するだけの理由が、ページの中にあった。
なぜGoogleはそう判断したのか
問題のページは /creatorsinterview/1/ 、ライター藤井彩子へのインタビュー記事だ。当時のタイトルはこうなっていた。
【クリエイター インタビュー vol.1】読み手の心に刺さり、行動に導くライティングに定評/ライター 藤井彩子
タイトルの末尾に人物名がある。Googleはタイトルタグの末尾を重要なシグナルとして扱う傾向があり、「このページは藤井彩子について書かれたページである」と解釈しやすい構造だった。
さらに本文の冒頭リード文にも問題があった。
「〜幅広く手がけているのが、ライターの藤井 彩子。彼女の、読み手の心に刺さり、行動に導くライティングには定評があります。今回はそんな藤井に〜」
Googleはページの冒頭200〜300文字を特に重視する。ここで「藤井彩子」「彼女」「藤井」と人物名が繰り返されていた。
加えて、クリエイター紹介ページ(/creator/)からこのページへのリンクには「藤井彩子のインタビュー記事はこちら」というアンカーテキストが使われていた。アンカーテキストはリンク先のページが何について書かれているかをGoogleに伝える強いシグナルだ。
タイトル末尾・冒頭リード文・アンカーテキスト。この3点が重なって、Googleは「このページは藤井彩子というキーワードに関連するページ」と強く認識していた。
「書いた意図」と「Googleの解釈」はズレる
ここで重要なのは、このページを作った側に悪意も失策もないという点だ。クリエイターインタビューとして自然に書けば、インタビュー対象者の名前は冒頭から何度も登場する。タイトルに名前を入れるのは、他のインタビュー記事と区別するための実用的な判断だ。
それでもGoogleは、ページを作った人間の意図ではなく、ページに書かれたテキストのシグナルをもとに判断する。
「このページはiworksのライターを紹介するページである」という意図は、テキストのシグナルとして明示されていなければ伝わらない。
書き手の頭の中にある文脈を、Googleは読めない。
これはiworksのサイトに限った話ではない。クライアントのサイトを見ていると、スタッフ紹介ページやスタッフブログで同じ現象が起きているケースをよく見かける。特に、芸能人や著名人と同姓同名のスタッフが在籍している場合、その名前で大量の意図しない表示が発生していることがある。本人を探しているわけでもない大勢のユーザーにページが表示され、クリックされないままCTRを下げ続けている。こうした問題は、専用のSEOツールを使うか、Search Consoleをクエリ単位で丁寧に確認しなければなかなか気づけない。
対処は3箇所で完結した
今回、以下3点の修正を行った。
タイトルの構造を変える
人物名をタイトルの前半に移動し、末尾をブランド名で締める形に変更した。
変更前:〜ライティングに定評/ライター 藤井彩子
変更後:【クリエイター インタビュー vol.1】ライター 藤井彩子/読み手の心に刺さり、行動に導くライティングに定評 - i works
名前は残しつつ、タイトル末尾のシグナルを人物名からブランド名に変えた。
メタディスクリプションを新規設定する
それまで未設定だったmeta descriptionを新たに設定した。内容は人物名を主役にせず、スキルと実績を前面に出したものにした。
「雑誌編集・企業広報・海外インターンなど20年超の経験を持つiworksのライター。ビジネス・不動産・医療分野を中心に、取材からSEO記事まで対応。その仕事観をインタビューで紹介します。」
アンカーテキストを変更する
/creator/ ページのボタンテキストを「藤井彩子のインタビュー記事はこちら」から「インタビュー記事はこちら」に変更した。
修正後、Googleが再クロール・再評価するまでには数週間かかる。次回のSearch Consoleデータで「藤井彩子」クエリの表示回数減少とCTRの改善が確認できるはずだ。
GoogleとAIは、同じ判断をする
ここからが本題だ。
「意図しないキーワードで流入する」という問題は、SEOの話として語られることが多い。しかし本質的には、ページの主題がGoogleに正しく伝わっていないという問題だ。
そしてこれは、AI Overviewや生成AIが情報を引用する際にも、まったく同じ構造で起きる。
生成AIが回答を生成するとき、参照する情報源を選ぶ基準のひとつは「このページは何について書かれているか」の明確さだ。主題が曖昧なページは引用されにくい。あるいは、意図しない文脈で引用されるリスクがある。
たとえば「iworksのライターの仕事観」について書かれたページが、人物名のシグナルが強すぎるために「藤井彩子というアナウンサー」の話題として参照されてしまうケースを想像してほしい。
Googleの検索結果でクリックされないのは数字の問題だが、AIに誤った文脈で引用されるのはブランドの問題になる。
主題の明確さが、これからのコンテンツ設計の基本になる
GEO(Generative Engine Optimization)やAEO(Answer Engine Optimization)という概念が注目されている背景には、検索の主役がキーワードの一致から、文脈や意図の読み取りへと移行しつつあるという現実がある。
GoogleもAIも、「このページは何について、誰に向けて、どんな価値を提供しているか」を読み取ろうとしている。
そのために必要なのは、特別な技術ではない。基本的なテキストのシグナルを整えるだけで、GoogleにもAIにも主題は伝わる。具体的には以下の4点を行うことをすすめたい。
- タイトルタグとh1で主題を明確に示す
- 冒頭200〜300文字で、ページが何について書かれているかを端的に伝える
- 内部リンクのアンカーテキストをリンク先の主題に合わせる
- メタディスクリプションで、ページの価値をひと言で表現する
これらはすべて、「書き手の意図をテキストのシグナルに変換する」作業だ。
頭の中にある文脈を、GoogleにもAIにも伝わる形で書く。それがコンテンツ設計の出発点になる。
