AIを使いこなす会社が、使えない会社を食っていく時代──AIセミナーで得た実践知

Claude・ChatGPT・GeminiなどAIツールを使い分けるビジネスパーソンのイメージ

2026年6月18日、一般社団法人 明石青年会議所主催「AIで加速するビジネスの未来 ―AIの最新活用法と実践事例を学ぶ特別セミナー―」に参加してきました。Webマーケティングやコンサルティングを手がける株式会社APOGEE代表・有木裕也氏による約90分の講義は、AIツールの比較から業務活用の具体例まで、現場で即使える内容が凝縮されたものでした。

この記事では、セミナーに参加して得た「今日から使える学び」をまとめます。


目次

AIエージェントの序列──今日時点でのぶっちゃけ評価

有木氏が冒頭で示したのは、主要AIの「個人的序列」でした。

1位:Claude ライティングとコーディングが突出して強い。文章生成・提案書作成・システム開発まで幅広くこなせる費用対効果の高さが決め手。

2位:ChatGPT 画像生成の精度が現時点でトップクラス。感情の汲み取り力も高く、壁打ち相手として優秀。ただし根拠なくユーザーの意見を全肯定しやすい傾向があるため、過信は禁物。

3位:Gemini Google連携の強みがあるが、ClaudeとChatGPTの進化スピードに追いつけていない状態。弱いというより、上位2つが強すぎる。

ただし、有木氏が強調していたのは「この序列は明日変わる可能性がある」ということ。AIの進化速度は目を見張るものがあり、いつこの序列が変わるかもしれないからこそ、「このAIしか使わない」という姿勢は今すぐ手放すべき、というわけです。

なお、筆者自身の現在の使い方は、ライティング・分析・企画(主に仕事)はClaude、画像生成はChatGPT、レシピや旅行計画のような調べ物や「今日の晩御飯何にする?」といったちょっとした質問(プライベート)はGeminiという分業体制。有木氏の言う「それぞれのAIの得意分野で使い分ける」という考え方と、計らずも一致していました。


正解は「使い分け」──目的別AIの選び方

各AIの得意分野を踏まえた実践的な使い分けはこうです。

  • 提案書・文章系 → Claude
  • アイデア出し・壁打ち → ChatGPT
  • 画像生成 → ChatGPT
  • 最終的なスライド資料化 → Manus / Genspark

特に資料制作の実践フローとして紹介されたのが、「ClaudeまたはChatGPTで構成を固め → Gensparkで資料化」という2段階アプローチ。情報整理と見た目の仕上げを分業させることで、クオリティと効率が狙えるアプローチです。


今すぐ試したいAIツール2選

NotebookLM(Google)

調べたいテーマを入力すると、複数のウェブソースを横断してリサーチ・要約してくれるツール。さらに要約内容をラジオ形式の音声に変換する機能があり、移動中のながら聴きや商談前の事前インプットに活用できます。

Notta

ZoomやTeams等のWeb会議に自動参加し、録音・文字起こし・要約をすべて行うAI。外国人との会議では同時通訳も可能。商談後のアフターフォロー資料がほぼ自動で完成する、という使い方が紹介されていました。無料版あり。


ClaudeCodeの実力──LP・システム・管理ツールまで自作できる

セミナーで最も驚いたのが、ClaudeCode(Claudeの拡張ツール)の活用事例でした。

  • LP(ランディングページ)制作:参考LPのURLとヒアリング内容を渡すだけで、HTMLのLP原稿が15〜20分で完成。従来3時間かかっていた作業が激減。
  • 打刻システム:出退勤の記録・管理・月次集計ができるシステムをClaudeCodeで構築。システム会社に発注すれば数十万〜数百万かかるものが、月額数千円で実現。
  • シミュレーター:給与計算や稼働シミュレーションのツールも自作可能。

「システムを作れる」というのはエンジニアの話、と思っていた経営者にとって、この事例は認識を覆すものではないでしょうか。

筆者自身も新しいサービスを紹介するLPをClaudeCodeで制作しようと現在挑戦中ですが、一つひとつ指示をしながら手を加えていく作業をしているせいか、なかなか思い通りの形にならず、まだ納得のいくものを作れるところまでは至っていません。セミナーで紹介された「参考LPをセットで渡す」という手順は、ぜひ試してみたいと思っています。


AIを使いこなすための「前提条件」という考え方

有木氏が繰り返し強調していたのが、前提条件(プロンプト設計)の重要性です。

AIの力は100ある。でも、その力を引き出せるのはあなた次第。

この言葉には大いに同意します。AIがどれだけ高性能になっても、使い手の知識や経験、判断力がアウトプットの質を決めます。以前、「AIが普及するほど、専門スキルを持つ人の価値が上がる理由」という記事を書きましたが、有木氏の言葉はまさにその考え方と重なります。

具体的に有効なのは以下の3ステップです。

  1. 自分を伝える:「私はこういう仕事をしている人間です」とAIに対して自己紹介する
  2. 相手と目的を伝える:誰に対して、何をアウトプットしてほしいかを明示する
  3. 制約と役割を渡す:「ここまでの範囲でやってほしい」「肯定しないでほしい」など、AIに期待する振る舞いや制約条件を指定する

ChatGPTの「パーソナライズ設定(カスタム指示)」を使えば、この前提条件をあらかじめ登録しておくことも可能です。


情報の正確性をどう担保するか

AIはユーザーの言葉を全肯定しやすい、根拠のない回答をしやすいといった問題に対して、有木氏が推奨していたのが複数AIによるファクトチェックです。

  • ChatGPTで回答を得る
  • その回答をClaudeに投げて「これは正確ですか?出典を明記してください」と確認する

AIをまたいで検証することで、情報の精度を大幅に引き上げられます。「出典を明記してください」「ファクトチェックをしてください」という一言を習慣にするだけで、ハルシネーション(AI特有の誤情報)のリスクを下げられます。


課金すべきAIはどれか

「無料版をうまく使い回す」という観点から紹介されていた方法が面白いものでした。

  • Googleアカウントを複数持ち、各AIの無料枠を使い分ける
  • Gensparkなど一部のAIは、やり取りを重ねるほどクレジットを消費する仕組みのため、最初の1回で必要な情報をすべて詰め込んだプロンプトを送れば、無料枠内で目的のアウトプットを得やすい。有木氏いわく「一撃のプロンプトでゴール決めてしまえば課金はいらない」。

それでも課金をすすめるとすれば、ClaudeCodeが最優先。文章もシステムも資料も作れるコスパの高さから、業務の中核に置く価値があるとのことでした。


これからは「AIに仕事を奪われる」のではなく「AIを使う会社に食われる」

セミナーの締めくくりで有木氏が言った言葉が印象的でした。

AIによって「ある業種がなくなる」というより、AIを使いこなせる会社が、使えない会社を食っていく時代になる。スマートフォンが普及してガラケーがなくなっていった時と同じ構図。

AIを使う/使わないの差は、今後2年で大きな差になるとも語っていました。今の時代、「FAXがメインの会社」と聞くと時代に乗り遅れた印象を受けますよね。2年後には、AIを使っていない会社がちょうどそれと同じように見られる時代になる、というわけです。

中小企業経営者にとって、AIはコスト削減ツールである以上に、競争優位の源泉になりつつあります。


まとめ

観点ポイント
ツール選び用途別に使い分ける。「1つだけ」はNG
精度向上前提条件の設計が9割。出典・ファクトチェックを必ずセットに
課金判断課金するならClaudeCodeを最優先に。他は無料枠の使い回しも現実的
危機感2年後、AIを使えない会社は競合に食われる

AIは触れば触るほど育っていきます。有木氏が言うように、「何をどう聞けばいいかわからない」と感じたら、その疑問をそのままAIに投げてみるところから始めてみてください。


この記事は、一般社団法人 明石青年会議所主催、2026年6月18日開催「AIで加速するビジネスの未来 ―AIの最新活用法と実践事例を学ぶ特別セミナー―」(講師:有木裕也氏/株式会社APOGEE)の講演内容をもとに、iworks・市岡が執筆しました。

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